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死因贈与契約で円滑な遺産分割も!
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◇【黒川会計】『死因贈与契約とは?死んだらあげる契約』◇
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いつも大変お世話になっております。Support黒川会計です。
29年11月も病院の先生向けに千葉県保険医協会で医師の事業承継相続対策という講演会を実施させていただきますが、今回も相続という財産の移転方法にいくつかの種類がございますのでその中の死因贈与契約についてご紹介させていただきます。
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│●「死因贈与」で生前に贈与契約を交わす。
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まず、下記からの説明上で財産をあげる者を「贈与者」、もらう者を「受贈者」とご紹介させていただきます。
死因贈与契約とは、「私が死んだらこの家を○○に贈与します。」というように生前に「死んだらあげる」という贈与契約をお互いで結ぶこととなります。ですから、契約はお互いの生前で、財産の移転は贈与者の死後となります。
なお「贈与」という名前がついていますが、実際には贈与者の死亡を原因に財産の移転が生じますので相続税がかかります。(登記原因は、贈与とされる。)
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│●遺贈と死因贈与の違い
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遺言書で行う財産の移転方法は遺贈といいますが、この遺贈については遺贈者が一方的に「誰々に○○をあげる。」という意思表示(単独行為)となります。死亡後に遺言が出てきて、相続人同士が遺言に基づいて遺産分割をするようなイメージです。
また、財産をもらう受遺者は、遺言に書いてある財産を受け取らないという選択も可能となります。
これに対し、死因贈与は贈与者と受贈者のお互いの間で成立する契約行為です。よって、贈与者の死後、受贈者の意思だけで財産の受け取りを放棄することは契約違反ですから原則としてできません。
「あげるともらう」という契約をお互いで交わしておりますので。
死因贈与は、生前に贈与者と受贈者の間での「契約」ですから、贈与者が亡くなった時にはじめて効力を発揮しますから、原則として法律では民法の遺贈の規定が準用されることとなっております。
しかし法律の適用上では、遺贈と死因贈与では成立の方法や撤回の可否で異なる点もございます。
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│●では、死因贈与のメリットって何?
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死因贈与のメリットは、遺贈とは違って遺言を書かなくても良いのですが、契約自体は口頭でも成立しますが、他の権利者へ対抗をするためにも死因贈与契約書は作成しておいた方がいいと思います。
また、公正証書遺言のように形式的に堅いものでなくてもパソコンなどで作成をした契約書でも契約成立しますので、遺言よりはフランクなものとなります。(もちろん公証人役場での公正証書としておくことも可能です。)
また、贈与者にとっては生前に特定の相手に必ず受け取ってもらいたい財産がある場合には有効ですし、生前に先方から感謝がされるという意味では遺贈とは異なると思います。
また、事実婚や世話してもらった長男の配偶者など法定相続人に該当しない者に対する財産分与をする場合には有効となります。(遺言でもいいのですが、法定相続人以外の一に財産を残す場合には、遺言か死因贈与契約しか方法がありません。)
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│●死因贈与契約は口約束でも成立します!
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死因贈与の契約にこれといった形式はありませんが、契約書には財産が特定できるようにして、お互いに署名押印して実印を押すということはしておいた方がいいです。(贈与者の印鑑証明書ももらっておくこと。)
本来、この契約は口約束でも成立するとも言われております。
とはいえ、第三者とのトラブルを防止するためにも死因贈与契約書は作成しておくほうがいいです。
契約書面にあれば受贈者が困ったり、相続人ともめるといったトラブルを回避できます。その際には契約書に贈与者の実印を押してもらい贈与者の印鑑証明書を発行していただきましょう。
なおこの死因贈与は、不動産であれば死因贈与を原因とした生前の不動産の仮登記もでき、実際に相続が発生をした場合には受贈者は、家庭裁判所の検認手続不要で相続人の同意不要で単独行為として不動産の相続登記(原因:贈与)ができます。
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│●では、死因贈与のデメリットって何?
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死因贈与のデメリットは、遺言の場合の遺贈こは異なり、生前にお互いで交わした契約行為ですから、その内容を撤回できない場合があることです。
不動産の相続登記(原因:贈与)ができるが、登記原因が相続の場合にはかからない不動産取得税が課税されることや登録免許税が相続の場合の5倍となるデメリットがございます。
また登記原因が贈与で相続税の申告を提出しますが、贈与税の申告はしませんから、税務署から問い合わせが来るでしょうが、その際には死因贈与契約で相続税の申告済みですと伝えればいいでしょう。
『死因贈与契約とは?死んだらあげる契約』でした。
では、お仕事頑張って下さい。
Support黒川会計